もうすぐ秋のお彼岸です。昔から「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、果たしてその通りになるでしょうか。今週もベイシアから旬のおいしい話題をお届けします。

「彼岸」とは、もともとサンスクリット語で「悟りの世界」を意味する言葉だそうです。かつてお彼岸の期間には、悟りの世界に到達するために祈りを捧げていたそうです。ちなみに今年は秋分の日が9月23日で、その前後3日ずつと合わせて7日間が秋のお彼岸です。

さて、お彼岸に欠かせない食べ物といえば「おはぎ」。赤い色をしたあずき餡をまぶした様子が萩(はぎ)の花に似ていることから「萩の餅」と呼ばれるようになり、やがて「おはぎ」と略されるようになりました。春のお彼岸では、春に咲く牡丹の花にちなんで「ぼた餅」と呼ばれるのが一般的です。
秋のお彼岸時期には収穫したばかりのあずきで「おはぎ」を作ります。収穫したてのあずきは皮までやわらく食べられるため、つぶ餡として使用。春まで保存したあずきは皮が固くなってしまうのでこし餡として使うことから「おはぎはつぶ餡、ぼた餅はこし餡」とも言われます。
ほかにも「おはぎは小ぶりで俵型、ぼた餅は大きく丸く」「もち米主体のものがぼた餅、うるち米主体ならおはぎ」など、地域によってその定義はさまざまです。
それではなぜ、お彼岸にはおはぎを食べるのでしょうか。その理由には諸説ありますが、あずきが魔除けになると信じる人々の気持ちと、昔は貴重品だった砂糖を使った特別な食べ物をお供えすることで先祖を敬う気持ち。そして、米は五穀豊穣の象徴であることから、お彼岸にあずきと米を使った「おはぎ」を作るようになったと考えられています
今ではお彼岸というと、あずき餡だけでなく、きなこや胡麻、ずんだなど、さまざまな味わいのおはぎを楽しめる、いい機会となっていますね。好みのおはぎを食べながら、お彼岸の1日をご家族で過ごしてはいかがでしょう。
参考:
『和のしきたり 日本の暦と年中行事』(日本文芸社)
『自然のめぐみを楽しむ 昔ながらの和の行事』(家の光協会)